14さいの秋 とんでもなく高いあの崖の上で わたし この世界のすべてを知ってしまって
22さいの春 高いところで 足がすくむようになったはずが 泣きながら ベランダに出ると 身体が空気みたいに軽い 少しの風 吹いただけ 飛んでしまいたくなる おもくて くろい 羽 が生えているようなんです
例えば、チョコレートが溶けて どろどろ になってしまったら 元の型がないと元の形には戻れない ように そして、わたしたちに型はなかった
あのひとを忘れるということは あのひとのくびを絞めて ころしてしまう感覚だ
きみの誕生日を迎えるまえに
ぼくはどうしても消えてしまいたかった
どこにでも行ってしまう靴をはいたきみが
どんどん遠くにいってしまうのが
どうしようもなく、こわくて、
わたしの手をずっと握ってくれたのに って
裏切られたみたいな 気持ちになってしまうようで
かなしくて
ずっと前
丈夫な大きいロープが わたしを呼んでいた
きっとぼくときみは 天使になれるでしょう
天使に
なれるでしょう