24/01/13

 

全部、全部、夢だった

わたしは最初から生きていなかった

 

抗うつ剤をたんまりと、

ねことギターと衣類を積んだ男の車には、

生きているのかも、死んでいるのかも、

わからない、

醜い、汚い、二十三のわたしがいる

 

くろいモヤに包まれているその塊は

最初からずっと、最後までずっと、

喜怒哀楽のないまま海をみていたの

 

国道8号線を走るその車から見えたものは

十四のわたしが、生きたいと願って足をかけた

おおきな、おおきな、

 

大きな、 おおきな 、岩が、

岩が、

いわが、なくなっていることだった

 

あれは夢だった

 

強姦も、ヒステリックも、左手首も。

 

全ては夢だったと知った

 

二十三のわたしは、どうしようもなくうれしくて、

男の車で、3シートの錠剤を、一気にのみこんだ

あの夢で見た、体内にはいる、すべての、

海とともに、飲み込んだ

 

男は慌てて車を停める。

 

男は、

「なんの、ために、俺が、」

と、

わたしを、

抱きしめる。

 

わたしは、この男に、何度打たれたか、覚えている

 

わたしは、大きく身体を逸らして、地球になった

 

おにいちゃん、大嫌い