22/10/23

嫌よ嫌よも好きのうち

愛している
これから何度もこの季節に苦しめられては
きみのことだけが気がかりだ

代わりなんてない。代わりなんてないよ
いないよ

雨が冷たいんだ
ぼくは傘なんてささずに
駅を出て右に曲がるんだ

何度も同じ夢を見る

雨が冷たいんだ
ぼくは傘なんてささずに
駅を出て右に曲がるんだ

ぼくに気がついたきみは
ヘッドホンをおろす
今日も寒いねとふたり、きみのマンションに急ぐ

十階までの冷たいエレベーター

今日もお疲れさまでしたあときみが言う

嫌な音のなる重い玄関ドア

んにーと鳴くねこ 物陰に逃げるねこ

アウター脱いだらいつものハグ

きみの匂いを夢に見る

20221021

十三度

きみと過ごしていたあの頃のニットいちまいでタバコを吸いに外に出るんだ

ご飯を食べた後に「しおりちゃん、」と差し出される三錠の薬を倍以上飲んでしまった

こんなに寒くなるときみとはじめて会ったコンビニ前を思い出すんだ ぼくはきみの天使であり続けたかったんだ きみのことを思い泣く時間はすごく長かったんだ きみのことを夢にみた朝は汗だくで泣きながら起きるんだ キリンやサントリーのビールを見るときみを思い出すんだ 寂しい夜に手を握ってくれたわけでも、泣いたら抱きしめてくれるわけでも、呼ぶとすっとんで来てくれるわけでもない、つめたい、とおい、きみのこと

 

枯れてしまった花束をどうしても捨てられなくて、毎晩泣いている

 

きみはぼくの天使なんだ

220926

雨の上がったぬかるみの芝
夜中の星空 全てを右手に包み込むような、鼓動 

ひとつに 抱きしめ 雑音から逃げるようにと

わたしはただひとり、煙を、優しく吐き出す
闇の中の冬 きみの匂いを思い出し、よせる

 

わすれられた花束
やまない雨を、どこかに
丸ごと愛すること
どこかに置いてきたラッキーストライク
嘘をついた
遊び心の頬になみだが落ちる

 

抱きしめるパスワード
思い出せないあの季節を
わたしはそっと吐きだしている

どうか、きみがあの季節を忘れますように
どうか、わたしが閉じ込められませんように

220923

ぬるい汗に怯えてブラウザバック
手がまだふるえている
これをきみへの最後のラブレターにするから、見ていて

ぼくたちにはまだ早い青い、冬
たしかにぼくたちは愛し合っていた
誰にも触れられるものかと、もがいていた

わたしの顎にぐいぐいとささるピアスの痛みはそのあとお互いの痛みへと変わったのだった。
わたしたちが一度終わりを迎え、またはじまった頃。きみといままでのようなセックスをした。きみの長い髪の毛を持った数時間後、別の長い髪の毛を持ちながらわたしはまた別の快楽におぼれていた。みっともないあの冷気がものすごく痛かった。
それでもわたしは、わたしは、どうしようもなくきみのことだけを愛して、苦しんで、腕を切るだとか、薬を飲むだとかをして、きみの注意をひいて、もっと暗い所にふたりで落ちていたかった。本当にふたりで落ちていたかった。もうとっくにわたしたちは深く暗い所にいたのに。

「しおりちゃんのせい」でいたかった。
「しおりちゃんのせい」で痛かった。

救い出すように別の闇がわたしの手を引っ張った。きみもわたしの手を離さなかった。

この世界にはさまざまな愛があることを知った。わたしは、どうしようもなくきみのことだけを愛していた。

冬が春になる前に、きみが遠くに行ってしまった。きみのうまれた春が夏になり、夏はやがてわたしの生まれた秋になった。また、冬が来る。
マンション前、雪に埋もれることのない頭一つ出た雑草を覚えてる?いつもそれを触るわたしに見向きもしなかった飲み帰りのきみが、・・


九月、「そこに置かせてくれてありがとう」と花束が届いた。
青い、綺麗な花たちの束ねられた、愛だった。

九月、わたしはひとつ歳を重ねた。
わたしはラブレットを外した。

また、冬が来る。
わたしはどうしても、ほんとうに、きみのことだけを愛していた。

220825

わたしも平気で嘘を吐くし、きみも平気で嘘を吐くけど、それでいい 楽に、楽に、ひとつだけに愛し合っていたい

 

勘違いしながら騙されながら生きていきたい そのままわたしも勘違いさせて騙しているんだろうと思う かぜが 風が冷たい

 

おねがいおいていかないで 吹く風そのままに飛んでいくことをもうやめるから わたしのとなりに 前にも後ろにもいかないで 手は繋がないままでいい 201?

気まぐれだねといわれた夜、わたしはひとりで泣くしかなかった あの国のにおいの混じるどんよりとした冬を抱きしめながら、忘れることをしなかった そのままわたしは眠りではない世界に消えた 僕は猫が好きだけれど、猫のような君は怖いといわれた夜、わたしはひとりで自殺した

 

自分のきもちだけを、自分の気持ちだけをかんがえたとき わたしは穴だらけのコップいっぱいの水だった

 

ぼくが死んでも、というきみをどうしても愛しているんだ

吸い込まれていくような時間が怖かった

 

220701

生ぬるいものが通り過ぎていった

振り返ると黒い影だけがわたしを見ていた

 

髪、伸びたねって頭を撫でられてキスを落とされる時間だけがあたまのなかでずっとループ

 

ねえ、早く死ねたらどれだけ楽かな

 

鍵と椅子がずっとないから

わたし

ずっと立ってるだけ

ひとり

寂しくもなんともないのにずっと泣いてる

 

嘘つきの君だけが悪いんだ